[読了]米澤穂信 犬はどこだ

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)





体調を崩した元銀行員の紺屋。社会復帰までのつなぎとして選択した職業は”犬探し専門の”探偵。ところが本人の思惑と異なり舞い込んできた依頼は・・・。
 米澤穂信ミステリ・フロンティア第二弾。これまでと異なるのは主人公の年齢です。ほんの少しですが上になりましたね。主人公の紺屋は奉太郎を思わせるクールな語りぶり。冷静です。偶然が重なり合うのも狭い町ならではでしょうか。厚さを感じさせない、スピード感のある展開でした。以下ネタばれを含む感想です。
 紺屋が銀行員を辞めた原因はアトピー性皮膚炎ですが、確かに環境が変わるときれいに直ってしまうこともあるようです。ストレスが原因かもしれませんね。刺激物が良くないと記述がありましたが、あまり気にしすぎるとそれ自体がストレスとなってしまうので、紺屋の自分に課した縛りは逆に良くない可能性もあります。
 登場人物のキャラが立っていると思います。反面、この分量では描ききれなかった部分が多かったと感じました。妹も、このままでは移動の時に利用するだけのキャラに留まってしまうので、次回作があるのならばもう少し掘り下げて描いてほしいところです。ハンペーは登場時の印象からはだいぶ異なったキャラのようです。A4用紙20枚に渡る報告書を一日で仕上げるとは、素晴らしい技量ですね。一日で書くことは不可能ではないと思いますが、ある程度の完成度で仕上がっているのはすごいことです。チャット仲間のGENの正体もいずれは明らかになるのでしょうか?妹のだんな様もこのままではまだ、ただのコーヒー好きの域を出ていません。以後、楽しみにしています。