[読了]石持浅海 BG、あるいは死せるカイニス

BG、あるいは死せるカイニス (ミステリ・フロンティア)

BG、あるいは死せるカイニス (ミステリ・フロンティア)





 大好きな姉である優子さんが強姦未遂で殺害された。男性が女性をレイプするなんてありえない・・・。優子さんが殺されたのは残念だけど、私にできることはない。そう思っていた主人公だが、優子さんに続いてもう一人が殺害された。警察は彼女に優子さんの死因を尋ね、ある事件を調査しているジャーナリストも主人公が鍵だと思わせる言動を取る。主人公は調査を始めるが、その捜査上でBGという言葉が浮かび上がる。都市伝説のひとつとして語り継がれるBG。それは一体何を示す言葉なのか・・・。
 ネタばれを避けようとするとどうしても曖昧なあらすじになってしまいます。少しだけ紹介すると、この世界では人類は全て女性として生まれ、出産を経たのち男性化する。つまり、男女比に偏りがあり、女性が4分の3を占めるという世界設定です。それ以外は現代とほぼ変わらないのですが、その設定と言うのはかなり思考や社会に違いをもたらしています。それを(あまり)不自然に感じさせない内容だったと思います。学園ミステリとしても良い出来だったのではないでしょうか。学園ものはすきです。アイルランドの薔薇などから固めの文章を書くかただと思っていましたが、この作品はすいすいと読むことができました。(世間の)作品の評価としてはアイルランドの薔薇などのほうが高いかもしれませんが、好みからいえばこちらのほうが断然好きですね。同じ作風ではもう書かないかも知れませんが、以後の作品が楽しみです。