[読了] 橋本紡 毛布おばけと金曜日の階段 (電撃文庫)

 高校生の未明と姉のさくらは仲の良い兄弟。近所に住む和人は桜と付き合っている。毎週金曜日、3人は集合し、おのおのの好きなものを食べたり、色々とくだらない話をする。それには理由があり・・・。
 イラストのヤスダスズヒトさんの影響力が大きくて、始めから終わりまでこの絵のイメージで読み進めました。それは、状況がイメージしやすいと言う良い点もあるけれど深刻な場面が薄っぺらになってしまうと言う悪い点もあります。作者の伝えたいことは判りましたが、あまり残らなかったのはなぜでしょうか。おそらく、短編として構成されているため、各個人の掘り下げ方が甘かったからではないかと思います。文章自体は好きです。もしかしたらイラストはないほうがいいのかもしれません。長編が売れている(らしい)作家さんなので、長編のほうが向いていらっしゃるのかもしれませんね。もう少し何作か読んでみるつもりです。
ちょっと検索してみたら、これらの作品は曜日シリーズとして考えているようですね。他の作品を書き下ろしで書くことで充実したものが書けたら良いな、と思います。日記ではこの”毛布おばけ〜が売れなかったので続きが書けず、売れなかったのはライトノベルに非日常を描いた世界を受け入れる土壌ができていない”とのコメントでしたが、それ以前に作品が未完成だったからではないでしょうか。少なくとも7冊もの構成を考えているのでしたらもう少し作品の売れ行きが安定してから発表したほうが良かったのかもしれませんね。今回のハードカバ進出が良い方向へ向かうといいですね。応援します。