佐伯 緑 What is Tanuki?

 

キンドルで購入したけど、ページの進み具合の表示がおかしかった。値段が結構高めだったので、これくらい残っていてもおかしくはないのかな、と思って読んでいたらエピローグが始まり、ちょっと悲しい。

それはともかく、野生動物、とくにタヌキへの愛情が感じられるというか、興味が尽きないことが伝わってくる。少し前に鉄腕ダッシュでタヌキの専門家として女性が登場していたけど、この方かな(これを書いたころの話)。フィールドワークをしている人は総じて絵がうまい。それだけ対象を観察しているのだろう。写真を見て書くのはそんなに苦手ではないのだけど、これは絵を描いているというよりも写真をなぞっているのに近く、記憶だけで書こうとすると途端に幼児のような絵になってしまう。記憶力の不備もあるだろうけど、観察不足が一番の原因だとおもう。

道路で車にひかれて死んでいる動物はそれなりに見かける。何の死体かはっきりわかることも多い。猫やアライグマは見た目で分かるし、鹿やイタチは大きさでわかる。カメや蛇、ハトやカラスも見た目でわかるかな。でも、尾が見えなかったらアライグマかタヌキかの区別はとっさにはできない。すぐに市かなにかに連絡がいくのか、死体はすぐにいなくなる。

ロードキルの思い出をいくつか。一度、ネコが並んで死んでいたことがあった。同時に轢かれたのか、どちらかを助けに行って二次被害にあったのかはわからない。死体はきれいなもので、大きな外傷はなかった。道路の真ん中で死んでいたのでロードキルかと思ったけど、もしかしたら違うのかもしれない、とも思う。真冬で、体は冷たくなっていた。首輪をしていたけれど連絡先は書いておらず、どこかに埋めようかとも思ったのだけど、散歩するコースなら、もしかしたら飼い主が探しに来るかもしれない、と道路のわきの植え込みの手前においてその場を去った。きれいな死体が並んでいたので記憶に残る出来事だった。もう一つ印象的なのは、ターミナルでバスを待っていたところ、目の前でハトが轢かれたことだ。ハトがいるな、とは思っていたけれど、ターミナルなので当然バスの速度は遅く、轢かれるなんて想像していなかったので驚いた。ぱきぱきと骨が折れる音がして、ハトがつぶされたのだけど、すぐに血があふれるわけではなく、羽があちこちに飛んでいた。かなり羽の量が多いように感じたけど、不自然なほど多いのではなく、羽毛の枕を破ったような飛び散り方だった。飛び散る羽の量が少しずつ減って、つぶされた体と血が見えるようになってきて、気分が悪くなったわけではないけれど、その場にいたくなくなったので10分ほどその場を離れた。ターミナルの職員が片づけたのだろう、戻った時にはもうハトの死体はなく、歩道のわきに少し羽が残っていただけだった。至近距離で何かが轢かれるところを見たことが無かったし、ハトが轢かれるときの音は今でも印象深い。田舎で過ごしている割には、何かを轢いたことはない(虫は除く)