
- 作者: 中村弦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/05/28
- メディア: 文庫
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あまり勝負事で佳境にいたるまでのレベルに達したことがないので、勝負へのこだわりも実は良くわからないものの一つかもしれない。大人になっておもうのは「1番じゃないとだめなんですか」でもないけれど、あまり個人で一番を目指す状況はないな、と言うことだ。もちろん、同じ会社の中でもトップを争うような人たちは切磋琢磨やら足元の掬いあいなど、いろいろとやっているのだろうけれど、上司から使い捨てっぽい扱いをされている身としては、そこまで仕事に入り込んでもあまりいいことはないとおもえる。1番を目指しても大して評価はないのだから、1番を目指す心情は生まれにくいのだろう。
部下の評価を好き嫌いで判断して欲しくはないものだけど、上司とはそこそこ人間関係的にもうまく付き合えていたとおもっていただけに(信頼もしていた)、失望が大きく、もはや信頼することはできないだろう。
かなり話がそれた。主人公は人嫌いではないもののあまり積極的にコミュニケーションをとろうとはしない。それでも建築設計の依頼が来るほどの天才であり、慢心もしない。うん、すばらしい。この主人公は、一度だけ女性と惹かれあって結婚する。その過程があまり描かれていなかったのが残念。