三浦しをん 神去なあなあ日常

神去なあなあ日常

神去なあなあ日常

 おもしろかった。仕事に就けないひとがたくさんいるというニュースを良くききます。そのニュースの中で、どこかの林業のひとたちが人員を募集したのに、すぐにやめてしまったとの話がありました。たぶん、体力的にも、環境的にも大変なのでしょう。その一部がこの話の中で描かれています。こういった世界は、年少のころからなじんでいないとはいりにくいのかもしれません。作中でも、主人公がよそ者扱いされています。それは、あるできごとをきっかけになくなるのですが、そんなことがタイミングよく起きることもあまりない。それに、主人公が比較的受け入れられたのはもうひとつ理由がある(のではないかとおもっています)。
 小さいころはなにかしらの職人になりたいとおもっていました。いまでも、身につけられるのならなりたいくらいです。まあ、ある意味職人のようなことをしているともいえますが。ただ、林業には入れたらはいりたいか、というとそうはおもいません。虫が苦手だし。語り部ではないもうひとりの主人公、ヨキも、豪快なのはいいのですがなじめるかなあ、などと考えてしまいます。
 ただ、そういった人たちがいてくれるからこそ森が保たれているし、質の良い木が手に入れられるのだということは理解しています。正直、中年期にさしかかった、やや若者が入るにはハードルが高い分野だとおもいますが、何とかこれらの知識や技術を受け継いで欲しいな、とおもいました。