- 作者: 伊東乾
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 28回
- この商品を含むブログ (57件) を見る
人は簡単に洗脳できるのだ、と伊東乾さんは言います。文章で読んだだけでも、こういった手段を使われてしまうとすぐに洗脳されてしまうだろうなと恐ろしくなりました。自分は大丈夫だ、と思っている人でも、システマチックに完成された洗脳方法を使えば洗脳されてしまうでしょう。たぶん、多くのひとは自分が想像するよりも薬(ドラッグ)に対する抵抗力がないし、外的圧力に耐えられない。かといって、そういった技術をなかったことにしてしまい表から消し去ったとしても同じような技術はきっと開発されてしまう(伝えられていく)でしょう。今できること、すべきことはそういった技術が有るということ、その気になれば誰でも洗脳されてしまうのだということを知ることだと思います。
サリン事件を起こしたことは許されることではない。でも、上層部の思惑で信仰を強制され(本人は強制されたとは感じていないかもしれませんが)、人生を台無しにされてしまったことは本当に痛ましい。簡単に死刑にしてしまえ、と思いがちですが、そうするよりも伊東乾さんが言うように、何故そうなってしまったのか、どうすればそれを防ぐことができるのかを考えるほうが前向きであるような気もします(読み終わった直後だからかもしれませんが)。どうすれば防げたかを今考えてももう起きてしまったことだから仕方がない、と言う人もいるかもしれません。でも、過去の惨事を防げたかもしれない方法を考えることはこれから起きるかもしれない惨事を防ぐための方法を考えるよすがになるのではないでしょうか。
簡単には感想を書ききれませんが、伊東乾さんはいろんなことをしているように見えても、本道は一つなのだなと感じました。いろいろと考えるきっかけになる本だと思います。