JDサリンジャー 村上春樹訳 キャッチャー・イン・ザ・ライ

キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)

キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)

 翻訳ものは苦手だけど、村上春樹訳だったら比較的すんなり読めるかなとおもって、発売と同時に購入していました。最近本屋さんでペーパーバック版をみたので、やっぱり読もうかなと、ごそごそと探し出して読みました。うん、予想通り(期待通り)するすると読める。物語は前編ホールデンが語るのですが、なかなかに痛々しい。大人の誰も彼もをインチキだと言い、気に入るものは無い。こういった描写は今のライトノベルにもたくさんあるし、近代以降はよくある態度なのだなあと改めて感じたしだい。これをあの時代に書いたというのはやっぱり感受性の鋭い人だったのかもしれません。ご本人も人嫌いのようで、ずっと隠遁生活をつづけていたようです。
 若者が世間を斜に見るためには、浪費できる環境が必要なのでしょうか。お金がないと、何もかも自由にならないのはお金が無いせいだ、となるかも。結局満たされることは無くて、それを原動力にいろいろと活躍する人と、そのまま打ちひしがれてしまう人がいるのでしょう。さすが、というか後日譚がかかれそうな終わり方でした。
 何度も読み返す人がいるのもわかる作品でした。また、将来、誰か違う人が翻訳したときとかに読み返すかもしれません。