冲方丁 天地明察

天地明察

天地明察

面白かった。日本の数学者に興味が出てきました。数学は特に好きでも嫌いでもなかったのですが、高校レベルまでならあまり根をつめて勉強しなくても点は取れたので比較的得意だったかもしれません。誰かが解き明かしたものについて理解することはまだ易しいのでしょう。ものすごいレベルになるとそれが本当かどうかも良くわからなくなってしまうけど。
主人公は碁打ちであり、数学者でもある渋川春海。あまり知らない名前ですが、実在の人物のようです。碁かあ。将棋もチェスも良くわからないけど、碁はもっと分かりません。いつの間にか勝負が終っている、と言う感じ。数学の思考と似ているのでしょうか。こちらはあまり深入りしたことはないのですが、全く分かりません。主人公の渋川春海は、頭がいいのですがちょっと抜けていて、臆病者ですがいざとなると肝が据わる。彼のまわりに集まってくる人物は皆優秀ですが、ちょっとずつ一部が際立って描かれており、キャラクタを把握しやすくなっています。この辺はライトノベルで鍛えたところでしょうか。分かりやすいし、感情移入もしやすくなっていてとても良い。ライトノベルと違うのは主人公の年齢が若干上であることかな。
実在の人物なのでどこまでが実際にあったことなのかというところも気になります。そういうことは、別の本などで触れてみるのがいいかもしれません。何を成し遂げたかは調べたらわかることなのですが、話の流れがとてもよい。次は水戸光圀みたいです。黄門様のイメージではなくて、今回登場した筋骨たくましい水戸光圀のようで、期待大です。
渋川晴海は、二人の女性と結婚します。その二人とも幸せにしている点がすごい。ああ、ひととのめぐり合いにこんな形もあるのだな、と少し感動しました。こんな出会い方があるのなら、生きることも楽しいのかも、と思えます。それも、渋川晴海のひたむきさがあってのことですが。
歴史ものはときどき読むのですが、宮本武蔵とか徳川家康とか織田信長とか、名前は知っている人が主人公のものしか読んだことがありません(国内では)。次回作もほんとうに楽しみです。