
- 作者: 辻村深月
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/09/15
- メディア: 単行本
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結婚したり子供を持ったりすることに疑問をもたない人はいるし、それがむしろ多数派なのだとおもいます。自分自身はそういうことからはなれてしまったし、どうやって迷惑をかけないように死ぬかとか(自殺ではない)、体が不自由になったらどうすればいいのだろうとかを考えることの方が多いのですが、これからの人たちにとっては子供を持ったり、そのあとのことを考えたりすることの方が大事だとおもいます。
物語の内容はというと、細部を書こうとしすぎて枚数が足りなくなったような印象でした。登場人物はどちらかというと、自分で幸せを感じるタイプではなくて「まわりに幸せだとおもわれたい」女性が多かった。なかなかこれはむずかしいことで、比較するものがなければわからないことは多い。背が高いのか低いのか、力が強いのか弱いのかなど単純なものでも比較する対象がないとよくわからない。それだけに、あまりまわりに影響されず幸せを実感できるひとはすごいなとおもいます。ときどき、そういうひとを「狭い世界の中で満足している」と馬鹿にするひともいるのですが、そういう人たちがどれだけ幸せを感じていることでしょうか。他人と比較すること自体はまあかまわないとしても、他人を蹴落とすことで充足感を得る人もいる(大嫌いですが)ので、単純にこうすればよい、という問題でもありません。
さて、自分自身はどうかというと、あまり人生でこうなりたいというビジョンがないため、特に幸せでも不幸せでもないようにおもいます。淡々と毎日を過ごしています。違う人生はきっとなかっただろうし、まあこんなものでしょう。いつか、淡々と毎日を過ごしていたことを後悔する日が来るかもしれません。もっと一生懸命何かをすれば良かったのではないか、とか。とはいえ、もうそう言うのには疲れてしまったのでしませんけどね。せめて、死ぬまでは自分の意思で体が動けばいいなとおもいます。