ロバート・A・ハインライン 夏の扉 小尾芙佐訳

夏への扉[新訳版]

夏への扉[新訳版]

有名な作品でタイトルは何度もきいたことがあるけれど読んだことがなかった作品。旧訳が悪いというわけではないのですがもともと翻訳された作品は苦手で(もちろん原文で読めるわけではない)、言葉遣いが古いとさらに抵抗を感じてしまいます。今回読むきっかけになったのはもちろん新訳が刊行されたからです。
今となっては設定とか話の展開はどこかで聞いたことがあるものですが(むしろこれが源流ではある)、面白く読めました。イメージではもっとピートが登場するとおもっていたのですが、思いのほか登場する場面は少ない。それでも猫のイメージが強いのはさすが(何がだ)。
研究だけを続けていたい研究者とそれを搾取しようとする経営者の構図はもうこのころにはあったのだなあと感じました。もちろん、もっと昔からあったのでしょうけど、作る人と売る人がここまで離れてしまったのは比較的最近のことではないでしょうか。どちらかといえば研究者、というか技術者にあこがれるので、この作品を読んでも主人公寄りな感想を持ってしまいます。実際は作る人と売る人が離れてしまっても互いに敬意を持つことが大切なのでしょう。