竹宮ゆゆこ とらドラ!8巻

とらドラ!〈8〉 (電撃文庫)

とらドラ!〈8〉 (電撃文庫)

 大河が小さいのに馬鹿力とか、ライトノベルらしくちょっと奇矯な設定はあるもののちゃんとした青春恋愛小説になっています。
 この作品の登場人物ももちろん影で自分にとって都合が良くなるように行動したりはするものの、基本的には正面から向き合っていてそれがすごいな、と思います。以前振られた相手にどう接していいかわからずに、結果として冷たい態度をとってしまって、後から考えると情けないことだと思うのですが当時はどうしていいかわからなかった。この作品の登場人物である実乃梨は、告白されたこと自体を無かったことにしようと振舞います。それもまた選択肢の一つとしてはあるのでしょう。何が正解なんてわからない。もしかしたら、他の誰かにとっては何も無かったように以前の関係を取り戻すことが幸せなのかもしれませんし、多少ギクシャクしても自分の恋心を受け止めてくれた(跳ね返されたとしても)方が幸せかもしれない。もう若いころのようにはできませんが、そして若いころにも無かったのですが、小説を読むことで擬似的に考えたりすることができていいです。どういった締め方をするのかわかりませんが、そろそろ終わりが見えてきています。次回にも期待。