北森鴻 親不孝通りラプソディ

親不孝通りラプソディー

親不孝通りラプソディー

 テンポのいい会話と展開でどんどん読み進めることができる作品です。前作を読んだときはもっと楽しめたはずなのですが、今回は今ひとつでした。年齢が変わるたびに、といっても切り替わるわけではないのですが、同じ作品に対しても受ける感覚が変わることがよくあります。若いころにそれを感じて(変化が大きかったのでしょう)、本をとっているのですが、これだけ毎月新刊が刊行されていると読み返すことはないのかもしれない、と少し感じています。ただ、将来「本」という形式が廃れていったら読み返すこともあるかもしれないとおもってなかなか捨てられない。感想ではなくなってしまいました。
 少し戻ると、攻撃性が高かった子供のころは正義の味方だったり悪の華みたいな部分を面白く読んでいたのですが最近は被害者側に意識が言ってしまうことが多くて楽しめません。それもまた読み手の変化かな、と思います。自由奔放な主人公ですが、その影であっさりと殺されてしまったり、虐げられる人がいるのだろうと思うと、純粋に楽しめなかったのかも。多分、能天気な主人公に共感してすかっとするのが楽しみ方だとは思うのですが。