有川 浩 別冊 図書館戦争 ?

別冊 図書館戦争〈1〉

別冊 図書館戦争〈1〉

 郁と堂上が少しずつ関係を深めていく過程を甘甘に描いた作品。私生活ではまったく恋愛関係はうまくいっていないので(というか何もない)少しうらやましいというか、ねたましい部分もありますが、そんな個人的事情はさておいて、とても面白く読める作品でした。甘い、ということは帯にも書いてあるのでそれが苦手な人にとっては読みにくいかもしれませんが、甘いというよりも初々しさを感じました。郁の別名がどれだけ増えるのかも面白いところ。なんだかんだいっても着実に成長しているし、成長小説としても楽しめると思います。あの山猿が、と評される郁ですが、見た目はそれほど変わるわけでもないと思うのでしぐさなどが変わったのでしょうか。あまりたくさんの登場人物を描くほどの長さはないのでどうしても小さい輪の中での関係性になりますが、それぞれの個性というか、好きな相手に対する態度がしっかりと描かれていてとてもいい。
 気になるのは手塚と柴崎の関係で、これらについては続編で描かれるとのことなのでとても楽しみ。