厚木準 僕たちのパラドクス 2巻

1巻を呼んだ記憶がそこはかとなくあって、タイムスリップものの話は好きなので思わず買ってしまいましたが、1巻の内容をほとんど覚えていない時点でちょっと考えるべきでした。読み終わってから感想を書いたかも、と思ってちょっと調べたらたぶん続きは読まないと書いているし、記憶力のなさにがっくり。
本作の舞台はジャンヌダルクが活躍する時代で、もしかしたら黄金拍車みたいに燃え上がる展開になるのかと期待しつつ読んでいました。中盤ぐらいまではそこそこ面白かったのですが、終盤からはちょっといただけない。一週間はかかる旅だ、一週間後到着した。3分間クッキングのような話の進め方にあぜんとし、当のジャンヌダルクはいつ出てくるのかと思ったらぜんぜん出てこない。歴史の裏側を書いているという設定の小説かと思ったらつじつまあわせはどうにでもなるさという展開。終盤はほとんど読む気にもなれないくらいの戦闘場面。
歴史は改変することができてもある程度は収斂していくとか、可能性の程度によって未来が決定するとかはちょっと面白いかなと思って読んでいたのですが、途中で気になったパラドクスは全く解決せず、疑問点はそのまま流しているかのよう。
それでも、舞台設定はある程度小道具であり、何らかの伝えたいことがあれば良いのですが、それも感じられない。主人公も流されるままですし、過去も描写されないのでただ単に薄っぺらいキャラクタ造詣にしか思えず、もう一人(二人)の主人公である女性二人もあまり魅力的ではない。せっかくラ・イールとか登場しているのにその魅力もあまり描けておらず、かなりのがっくり度でした。今度も続きがあるようですが、次は間違って買わないように内容を覚えていたいものです。