- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/09/07
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 24回
- この商品を含むブログ (157件) を見る
今回は小川と鷹知が手を組んで調査をするのですが、何度か小川は鷹知の質問に感心します。感心するばかりで小川自身はそういう鋭い質問ができないのか、と思う人もいるかもしれませんが、純粋に鋭さを発揮する人と、他人の鋭さに気がつく才能を持つ人がいると思います。身近な人が鋭い言動を取ったとしてもなかなか気がつくことは難しい。その人にとってはそれが普通になってしまっていることもあるかもしれませんが、鋭さに気がつく才能に欠けている場合が多いからです。小川のキャラクタはゾラ〜の赤座都鹿に似ているような気がします。もしかしたら後々登場するかも。
いろんな事件があるとなぜか情報が朗詠していることがあります。今回、この作品ではその過程のひとつが示されています。内緒だといいつつ、この場合は仕方がない、と妥協して話が漏れ広がる過程。悪意はないのでしょうが、情報が漏れるのはシステムの不具合ではなく人からなのだなと感じます。それ自体がシステムの不具合だといわれたらそれまでですが。
物語の終盤には例のあの人が登場します。偶然、というには都合が良すぎるかもしれませんが、世に言う奇跡も多くは確立の問題でありえないことではない(実際に起こっている)のでありえることかもしれません。ただ、偶然と考えるよりも背後に大きな意思が隠されていると思ったほうがいいかもしれません。森さんが作家を終える前に、彼女がどのような登場をするのか、あの世界につながるためにどのような計画を練っているのかが明らかにされるかと思うと今後も森作品から目が離せません。