安野モヨコ 働きマン 4巻

働きマン(4) (モーニング KC)

働きマン(4) (モーニング KC)

この作品を読むと、必ずしも仕事に力を入れている人ばかりではないことが良くわかる。もちろん、それに善悪はなくて、仕事をきちんとしていれば何も文句はありません。この巻で頭にきたのは(感情を動かすということは良い作品なのだろう)、写真を返すよう上司から指示を受けていたのに忘れていて、それを何度もしつこく言うからと人のせいにする人たち。何度も言われるのは確かにあまり気持ちのいいことではありません。たとえば、一度何かを失敗して、それ以降気をつけていて同じ失敗をしていないにもかかわらずしつこく言われると多少頭にくることもあります。それでも、冷静に考えるとそれだけその失敗がひどかったのだと思うし、嫌味も多少含んでいるかもしれませんが心配してくれていることがわかります。
この責任転嫁する人たちは、何でここに雇われているのだろうと思うくらい何もしていないように見えます。もしかしたら彼らが意外な面で活躍している場面が描かれるかもしれないと、少し期待しています。
世の中にはいろんな仕事がありますが、安野さんが舞台として選んだのは雑誌の編集です。正直、雑誌に期待するものはなくて、雑誌を読むことがあるとすれば長距離を移動するときに頭を使わなくても良い本を探したり、お店においてある雑誌を読むぐらいです。広く浅い情報を得るためには良いのかもしれませんが、特定のジャンルに強い興味を持っているわけではないのでそれも動機としては弱い。最近買った雑誌といえばダ・ヴィンチぐらいでしょうか。それも新年号を買うくらいです。雑誌は安さとか手軽さが取って代わるものがでてきたときに消えていくのでしょう。
毎週毎週良くそんなに書くことがあるなと思うのですが、ほとんどは適当に作った記事で、きちんと取材したものってあまり無いのではないでしょうか。専門の雑誌ならともかく、主人公が勤めているような部門の雑誌で、主人公(とその同僚の一部)ほど真剣にしている人がどれくらいいるのか少し疑問です。
ちょっと悪口になってしまいました。あまり良い印象を持っていないことが改めて自覚できます。媒体に関する感想はともかく、一生懸命な主人公には好感が持てます。もちろん主人公の言動すべてが好ましいと思っているわけではありませんが、誰だって(誰かにとって)いいところと悪いところがあるのでそれで良いと思います。
続けようと思えば続けられるでしょうし、いつでも終わろうと思えば終われそうな作品です。続きがでたら読みたいし、でなくても構わないとも感じます。そういった意味では変な読後感の作品でした。