土橋真二郎 扉の外Ⅱ

扉の外〈2〉 (電撃文庫)

扉の外〈2〉 (電撃文庫)

 前回とは違ったクラスが主役です。今回もゲーム性を前面に押し出した作風ですが、前作の内容を少し忘れているのでつながりがあるのかないのかよく思い出せないのが残念。高校生までは同じ年齢の少年少女が同じ場所にいるというある意味偏った世界なのですが、その偏ったメンバで構成された世界でも、実際の世界と同じような力関係があったり、駆け引きがあることを描いているのかもしれません。前作を読んだあとで、もしかしたら次はハーフの子とか留学生の子が登場するのではないかと思いましたがそんなことはありませんでした。
 非常事態で冷静に物事を判断するのは大切なことですが、自分以外も同じように心がけるかどうかはわかりません。その中でさらに冷静に動けるかどうかは重要な点ですが、十台の少年少女にそこまで求めるのは酷でしょう。大人だともっと難しいかもしれませんが。
 最終場面は前作と似た場面で、この後ももう少し他のクラスの描写があるかもしれませんがおそらく「外」の世界での関係も描かれるでしょう。受賞作を広げるのはどのレーベルでもありがちなことですが、それ以外の作品でどのような作品が書けるのかに注目しています。さて、この作者はどのような作品を見せてくれるのか。続編も楽しみですがその点も楽しみにしています。