萩原麻里 カタリ・カタリ トキオカシ2

 時間旅行ものの作品を読むと思うのは、今話している言葉がどれくらい通用するのだろうということです。江戸時代ぐらいまでなら何とかなるのかな、と思いますが、それ以前になると会話も成り立たないでしょう。今回の舞台は大正時代ですが、それくらいならまだまだ普通に話せると思います。時代が離れるにつれて当然知っている事象、常識と呼ばれるものの内容も変わってくるでしょう。時間旅行ものではそんな常識のずれなども楽しめる点の一つですが、今回はあまりそういった描写がなく残念。それどころか妙に溶け込んでいたので逆に違和感があったほどです。
 今作では時置師がどうして生まれたかなどについて急ぎ足で描かれていました。この作品に登場するキャラクタは結構好きだし、まだ続いてほしいと思っていたのですが、完結してしまったのでしょうか。物語を読んだ時点ではまだまだ続きがありそうですが、あとがきでまだ登場していないキャラクタについて説明があったのでよくわからなくなっています。
 少し検索したら、どうやら打ち切りのようです。キャラクタの造形も上手いし、文章も好きなほうだと思っていたので少し残念。そう思っている人は他にもいるようで、ウェブでの感想を関係者が読んで、打ち切りが回避されると嬉しいのですがそれは望み薄かもしれません。次回作に期待。