三田誠 レンタルマギカ

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気が弱いけれど正義感がある、でも、ただの高校生だったイツキは、これまでほとんど顔もみたことがなかった父親の仕事を引き継ぎ社長となった。その会社は、さまざまな種類の魔法使いを状況に応じて派遣する、魔法使いの派遣業だった。
魔法にもいろいろあって、世界中のいろんな魔法を良い意味でごちゃまぜにしています。それぞれに特長があって、力を生かせる場所と苦手な場所がある。適材適所を考えるのが社長の仕事であり、時には非情とも思える選択をしなければいけません。しなければいけないのですが、主人公のイツキはいまひとつ非情になりきれず、どちらかと言えば自分の身を削る方を選択してしまいます。今のところ結果オーライですが、それでいいのかとも思います。高校生が成長する過程を楽しむ作品ですが、誰が経営していようと仕事は仕事であり、急成長が望まれる(強いられる)場面や何か(誰か)を切り捨てなければいけない場面が出てくるかもしれない。
何か無茶なことをしても「いっちゃんやなあ」で片付けられているのはこれまでが幸運だったからであり、本来はあってはいけない事態だったのだと思います。社長みずから動くのも良いのですが、最終的に何を守るために、何を勝ち取るために動いているのか自覚する日は来るのでしょうか。すべてが大切だし、すべてを守りたいのは当然誰しもが持つエゴなのかもしれませんが、それを勝ち取らせて満足感を持たせる小説なのか、削り取られていって、最後に残ったものが自分に欠かせないものだと言うのか。今のところ前者の可能性が濃厚。
これまでに何冊か短編集がありましたが、いろんな魔法使いが登場する作品だからか短編の方がいろいろと楽しめました。登場人物の活躍する度合いにあまり偏りが無いのが良いです。少しずつ登場人物の活躍する場面とか背景を描いていって、最後に収束させる形が結構好きです。