彩雲国物語 青嵐にゆれる月草

次第にこれまでの背景とかを忘れてきているので読み返したいところですが、すでに手元に無い(もしくは埋もれている)のでそれは叶いません。あまり長期にわたる作品だとどうしても細部を忘れてしまいます。ちょうどいいのは10冊ぐらいです。10冊で終わったら一気に買うこともあるし、読み返すにしても読み返しやすい。
それはともかく、物語は一気に動くような場面ではなく、少しずつ積み重ねていくところで、それが必要な作品となってきました。盛り上がりが無いけど、作品にとっては重要な部分を書くためにはそれまでにある程度まとまった人気が必要でしょうし、後から付け足しのような形になってしまうことも往々にあるのでとても難しいのではないかと思います。しかし、この作品では多少強引に感じる部分はあるものの、秀麗の成長をじっくりと描いており、好感が持てます。理想があって、目標となる人物も目の前にいる。でも、自分の体(と頭脳)は思い通りに動かない、と言うのはなかなかつらい状況です。先人が長い月日をかけて得たかもしれないことを、ひよっこの身でこなそうとする無謀さがよく描かれている巻でした。
ただ、そっくりさんねたはやめて欲しかったかも。登場人物の全員が美形でも、ものすごく有能でもまあ、仕方が無いかと思うのですが、そっくりさんはちょっとなあ、と思います。
若者たちが育ってくる場面になってきました。派手な場面が無い分不満に思う人もいるかもしれませんが、ここが無いと薄い作品になってしまうかもしれないので、もう少し(後4冊ぐらい)は地味でもしっかりとした背景を描いて欲しいところです。