支倉凍砂 狼と香辛料4巻

狼と香辛料 (4) (電撃文庫)

狼と香辛料 (4) (電撃文庫)

 意外なほど早いペースで旅が進んでいるホロとロレンスです。世界が意外と狭いのか、旅の途中を省略している部分があるのか。今回はいろいろと神々に対する伝説を集めていた司教を訪れる話です。今で言うと民俗学でしょうか。いろんな話をまとめていくと、その中に系統だったものが見つかるのはもしかしたらよくある話なのかもしれません。都市伝説とか、それが生まれた理由を分析している本もたまに見かけます。
 ロレンスとホロの関係はそれなりに甘いものですが、やはり種族を超えた関係は難しいのでしょう。悪いたとえになると、犬が喜んでいるように見えているからといって本当に喜んでいるかどうかはわからないことに近いのかも。ただし、ロレンスとホロは言葉を交わすことが出来ますし、その言葉も共通のものです。犬と言葉を交わせるようになったら(きっと)楽しいことばかりではないように、二人の関係も必ずしも楽しいことばかりではありません。それでも、ホロにとっては短い期間かもしれませんが二人が交流を深めていくことで距離はだいぶ縮まってきたように思えます。
 ホロの本当の姿が狼なのか少女なのか、と言われるとおそらく狼のほうなのでしょうが、ホロが少女の姿をとることにも何かしらの意味があるのかもしれません。旅を経るにつれてともに離れがたくなってきた二人ですが、今後どのような関係を築いていくのか楽しみです。あ、内容にあまり触れていませんでした。今回は直接ロレンスが危機に遭遇したわけではないので緊迫感はこれまでの作品よりも少なかったですが、相変わらずの面白さでした。