渡瀬草一郎 空ノ鐘の響く惑星で 全12巻

空ノ鐘の響く惑星で (電撃文庫)空ノ鐘の響く惑星で〈2〉 (電撃文庫)空ノ鐘の響く惑星で〈3〉 (電撃文庫)空ノ鐘の響く惑星で〈4〉 (電撃文庫)空ノ鐘の響く惑星で〈5〉 (電撃文庫)空ノ鐘の響く惑星(ほし)で〈6〉 (電撃文庫)空ノ鐘の響く惑星で〈7〉 (電撃文庫)空ノ鐘の響く惑星で〈8〉 (電撃文庫)空ノ鐘の響く惑星で〈9〉 (電撃文庫)空ノ鐘の響く惑星で〈10〉 (電撃文庫)空ノ鐘の響く惑星(ほし)で (11) (電撃文庫 (1286))空ノ鐘の響く惑星で〈12〉 (電撃文庫)
全巻ほぼ一気読みでした。世界観がとてもわかりやすく描かれている部分に好感をもてます。国と国との対立とか、それは何を欲して、誰が何を望んでそうなっているのかが書かれており、世界自体がそれほど大きくないためある程度は単純化されているもののとてもよかった。
そういった世界観を描くには何が重要なのかが作者の中では確立しているようでした。読者として感じたそれは、「脇役まで丁寧に描くこと」です。主人公がいるからには敵もいるわけですが、視点上の敵についても丁寧に背景が描かれていたことで厚みを持たせることができたのではないでしょうか。そうして育てた(といっても良いでしょう)キャラクタを使い捨てることがなかったのもよかった。逆に言えば終盤にかけてどうなっていくのかが大体読めてしまう、との欠点も挙げられますが、物語のよさからするとまったく瑕疵にはなりません。途中で、このエピソードでは何が言いたかったのだろうと思う場面もいくつかありましたが、全巻読み終えた今では納得の行く場面です。気に入った作品では「あのキャラクタはあの後どうなったのかな」と思うことが多いのですがこの作品では特にそれが顕著で、好みに合っていたのだなあ、と改めて思います。
当初から結構お気に入りだったキャラクタはパンプキンです。はじめに想像していたときはもう少し大きなかぼちゃが乗っているイメージだったのですが、イラストを見て少し修正。あの道化めいた語り口調が好きで、なるべく長く登場してほしいな、と始めから感じていました。
イラストもまたすばらしい出来で、文章でも個性を書き分けているのですがイラストも人目でどれが誰だかわかるすばらしいものです。最終巻ではかなりの登場人物がカラーで描かれていますが、この描き分け方はすごい。
ひとりひとりのキャラクタについて思うことはありますが、内容に触れてしまうのでやめておきます。著者のHPをみるとライナスティがなぜ騎士団に入ったのかが短編で描かれているようです。ぜひそれも単行本にしてほしいところ。
ちらっとみた作品の評判通りでとても面白い作品でした。ほかの作品も読んでみようかな、と思える完成度です。イメージがある巻とない巻があって残念。いずれ全てのイメージがそろうと信じて並べておきます。