椹野 道流 貴族探偵エドワード―碧き湖底にひそむもの

 探偵ものかと思わせておいてファンタジーになってきている作品ですが、そのあたりに異存はありません。今回はエドワードの家族が登場するのですが、誰よりも格好よかったのはやはり父親でしょう。どのように格好よかったかは作品を読んでもらうとして、こんな人がいたら世の中はもう少しましになっていくのだろうな、と思います。そのほか理不尽な要求をしてくるものもいるのですが、あちらの立場を考えると妥当な行動なのかな、と思ってしまいます。
 だんだんとそれぞれのキャラクタも動き出しているようで、もっとアパートの住人に登場して欲しいなと思うのですが、事件に係わり合いを持たせるよりは、今回のように若干番外編といえる内容で登場して欲しいかな、と思います。登場人物があまりにも多いと把握しきれなくなるのはわかるのですが、たまたま近くに住んでいた人がみんな重要人物(もちろん物語りにとっては重要ですが、事件などの解決に、という意味)なのは少々違和感があるのです。
 このレーベルの主要な購読層に向けて書いているのだろうな、と思える(道徳っぽい)部分もそこかしこにありますが、特に嫌な感じはせずある程度年を経たひとでも読めるのではないでしょうか。最終的なゴールはまだ見えませんが、続きが楽しみな作品です。