日日日 アンダカの怪造学 うそつき魔女の見つめる未来

 キャラクタもある程度充実してきて、日日日の作品ではかなり王道を進んでいる作品です。今回は怪造された生物は友達だと主張する伊依と彼らは道具だと主張する鬼京のぶつかり合いがメインでした。ライトノベルにはあまり無い"議論"が主軸としてあった点に好感が持てます。多少鬼京の主張が弱かったかなと思う点もありますが、作品内で自然に"議論"できていることはとてもよかった。議論の仕方を学んだというわけではないと思いますが、互いの意見をぶつけ合ってよりよいものを求めることをライトノベルで描いたことはとてもよかったのではないでしょうか。現実には"議論"ではなく声の大きいものの主張が通ってしまいがちな世の中ですが、声の大きさだけに戸惑うことなく、互いの意見を主張できる世の中になれば良いなと思います。
 終盤ではさらに王道を進んでいきそうな展開が予感される描写があり、これをどのように収束させていくのかも楽しみです。日日日のほかのシリーズは追いきれていないものもありますが、このシリーズは今後も読んでいきたいと思える作品です。