トランスルーセント 彼女は半透明1-4巻

トランスルーセント 1―彼女は半透明 (MFコミックス)トランスルーセント 2―彼女は半透明 (MFコミックス)トランスルーセント 3―彼女は半透明 (MFコミックス)トランスルーセント 4―彼女は半透明 (MFコミックス)
 透明病という原因不明の奇病にかかった少女の物語。その少女、しずかちゃんは演劇部に所属し、女優を目指しています。透明になってしまう症状と、女優と言う自分自身を表現する職業は当然相反するのですが、それでもあきらめないしずかちゃんの姿と、ひたむきな彼女を支えようとする周囲がとても良い。彼女を支える重要な人物に、唯見君と言う少年がいます。唯見君は同世代の少年から見ても幼い言動の残る少年ですが、時々、物分りのいい大人ではいえない言葉をしずかちゃんに与え、自分でどれだけ重要さがわかっているのか解りませんが、彼がいなければしずかちゃんは耐え切れなかったかもしれないと言う場面も一つや二つではありませんでした。
 透明になってしまうと目がみえないのではないか、と思ってしまうのは中途半端にSFなどを読んでいるせいでしょうか。あと、体から離れたもの(髪の毛とか血とか)はどうなるのだろうと思ってしまうのですが、その辺を考えるのは野暮かもしれません。もしかしたら、周囲の人間が認識できない病気だったりして。当然メカニズムが解らないけど、素敵な設定だな、と思えるものがありました。しずかちゃんにいろいろと助言を与えているあの人が見せた姿にちょっと感動しました。
 主人公が透明な以外は本当に良くあるような学校生活で、だからこそ主人公の悲しさが伝わってきます。ウェブ上では好評な作品ですが結構大きな書店を回ってもあまりおいていませんでした。ようやく見つけたので読むことができましたが佳作だと思います。