築地俊彦 ときむすび

ときむすび (ファミ通文庫)

ときむすび (ファミ通文庫)

 時間に関係した小説を連続して読むのは偶然ではなくて、「時をかける少女」の影響が大きいのではないかと思います。とか言いつつ偶然かも。あまり読んでいないだけでタイムスリップものの小説はそれなりにたくさんあるのではないかと思います。図書館で借りて最後まで読むことができなかったコニー・ウィリスの「ドゥームズデイ・ブック」などが思い浮かびますが。タイムスリップしなくても、過去の誰かと話すことができたり、手紙のやり取りができたりする話もあります。それだけ、ひとは後悔することが多いと言うことかもしれません。それほど深刻ではなくても、あの時ああすればよかったのになあ、と思うことは誰にでもあって、修正できる機会があれば些細なことでも修正したいと思っているのでしょう。ちょっと「時かけ」の主人公は些細なことに踊らされすぎですが。
 この小説では「誰もがかならず誰かに影響している」と言いたい小説だったのかもしれません。あちらを立てればこちらが立たず、ではありませんが誰もに都合のいい話などそうあるわけではなくて、結局誰かが何かを負担しなければいけません。そんな教訓めいた話ではないと思いますが、ちょっと「笑うセェルスマン」のような感じもしました。
 トキオカシと違ってこれは続編があるような話でもなく(同じ設定は使えるかもしれませんが)完結しています。どちらかと言えばトキオカシの方が好みでした。