狼と香辛料 3巻

狼と香辛料 (3) (電撃文庫)

狼と香辛料 (3) (電撃文庫)

それなりのペースで刊行されていますが、作品の質が落ちる事もなく、むしろ毎回面白くなっているあたりがすごい。老獪な神であるホロと旅をする商人のロレンス。老獪でありながら幼い一面も持つホロはとてもかわいらしいです。演技とわかっていてもだまされてしまうロレンスもかわいいと言えばかわいい。
神様ってどんな存在なんだろう、ってリアルに考えると怖くなってしまいますが、ライトノベルの世界観で考えてみる程度には楽しいかもしれません。人を神に似せて作ったと言うならばちょっと人より長生きで、ちょっと人よりできることが多いくらいでしょうか。まあ、人とチンパンジーの差がほんの少しのように、ほんの少しの違いが結果として大きく異なることもあるでしょうが、「ちょっと人より長生きで、ちょっと人よりできることが多い」程度なら神とはいえないでしょう。
そこでホロについて考えてみますと、変身できること以外は特に神らしい能力はなく、死ぬこともあるかもしれません(そのあたりについては忘れてしまいました)。視点も嗜好も人間に近く、これまでの印象では神というよりも妖怪に近い。妖怪というかWerewolfに近いような印象です。
いずれにしろ人とは相容れない存在であるホロとロレンスの関係は今後どのようになっていくのでしょうか。今回、その可能性のひとつが提示されました。これまで生きてきた間にロレンス以外とも親しくなることはあったでしょうし、実際に試したことは…なさそうですがそれに近いことはあったと思われます。ホロが人になってしまうというのはあまり考えられないし、貧相な想像力で考えられるパターンとしては、ロレンスが死ぬまでを見届けて、次のパートナを求める。新しいパートナが見つかったところから次の物語が始まる、と言うおもいでエマノン型。何かの拍子にホロが死んでしまい、その一部が残されて生まれ変わるけどこれまでの記憶はなく、姿もさらに幼くなっている。ロレンスはそんなホロの保護者として余生を過ごす。当然ロレンスは先に死ぬが、生きている間にホロに生活の知恵などを授ける、と言うパターン(新たな神としての物語が始まる)など。
まあ、可能性ならいくらでもあげられますし、当たったからといってえらいとも思わないのでこの辺でやめておきましょう。
とりあえずは、次の目的地では何を売買するのか、ホロの希望する土地に近づくことはできるのかなどを楽しみに続巻を待ちたいと思います。