森博嗣 λに歯がない

λに歯がない (講談社ノベルス)

λに歯がない (講談社ノベルス)

森作品は各作品のリンクが多すぎてどれとどれがどんな風につながっているのかがだんだん把握できなくなってきています。特別意識はしていないとのことですが、大体ひとつの世界観でつながっている話が多いと思います。以前にも書きましたが、森さんは刊行順に読む必要はないとおっしゃるものの、これまであった事件の話などが話題に出てきたりするとやはり気になりますね。こういうのを気にするのも本を読む集団に多いのでしょうか。
作品は、真賀田四季の話題が出たところで軽くぞくっとしました。犀川先生が考える死と、真賀田四季が考えるであろう死。それらはあの作品につながるであろうことが、森ファンなら当然わかっているでしょう。ここで、単品でこの作品を読んだ場合はそんなことはありえないとか、少し飛躍しているのではないか、と考えてしまうかもしれませんが、他の作品を読んだことがあればまた感想も違ってくるはず。このぞくっと感が楽しいので他の人も刊行された順番に読んだほうがいいと思ってしまうのかもしれません。
事件はこれといって意外な点はなく、ヒントらしきものが提示されて、予想はできましたがそんなの個人で持つレベルで大丈夫なんだろうか、と思いました(ネタばれを避けた苦しい表現)。これ以上は書きにくいのでやめておきます。
まだまだ途中、との印象が強い回でした。キャラクタもまだまだ隠されている点があったり、意外な点がありそうで面白いのですが、海月くんが犀川先生の劣化コピーにならないようもう少し彼独自の部分も出して欲しいな、と思います。思います、と書きましたがおそらく森さんはこれまでの読者はそう感じるだろうと予測して海月くんのキャラクタを描いているような気がします。終盤、どんな展開があるのか本当に楽しみです。