瀬尾まいこ 強運の持ち主

強運の持ち主

強運の持ち主

 元OLの占い師、ルイーズ吉田が活躍する話。占いを信じていないルイーズですが、実際に恋人を捕まえるときにはものすごい強運の持ち主だから、という理由だったのが面白い。あまり、というか全然占いは信じていないので占い師に占ってもらったことは一度もありません。この物語では「物事の終わり」が見える青年が登場しますが、彼はきっと感受性が鋭くて、無意識のうちに自分の中で情報を処理しているのではないかな、と思います。もちろんそれだけでは判断できないことが世の中には山ほどあることも承知しているつもりですが。
 瀬尾さんの小説に登場する人は結構ニュートラルな立ち位置の人が多くて、それがとても心地良いです。今回は特別感動する場面があったわけでもないのですが、日常の些細なことに気がつくあたりに好感を覚えます。学校の先生をしながらなので結構忙しいのだろうな、と思いますがこれからもマイペースで刊行を続けて欲しい作家です。