日日日 Ⅲ デンジャラス・アイ

 空井伊依に怪造学を教えた仇祭遊が、伊依の学校に転校してきた。遊のもといた学校が壊滅状態に陥ったためだ。遊は伊依に怪造学の良さを教えてくれたころとは異なり、怪造学を滅亡させるために暗躍していた。それには理由があってのことだったが、伊依は遊をとめることができるのか……。
 日日日の作品は読みやすいこともありますが、その観光ペースを主に評価してきました。イメージが尽きないのか、それとも連鎖して何かが生み出されるのか。時間があるときにほんの数枚分の文章を書くだけでもいっぱいいっぱいな身としては、それだけ刊行できるだけでもすごいと思います。その作品群は必ずしも粗製濫造だというわけでもなく、個人的に会わない作品もありますが、ある程度の質を保っていると思います。
 今回、日日日の作品を読んで、言い方が偉そうかもしれませんが、成長したな、と感じます。ライトノベルと言う形態に限定されているかもしれませんが、ある法則が律する世界を構築し、その中で主人公を成長させています。これまではエンタテインメント色が強く、何かを伝えることはあまり頭の中になかったような気がしていました。でも、少しずつですがメッセージ性のある作品になってきたと思います。
 悪く言えば少年ジャンプのような王道の展開かもしれません。読みなれた読者からすれば、同じように見えるかもしれません。でも、王道は面白いからこそそう呼ばれるのであり、行き着く先が似ていたとしても課程によって形はさまざまに変化します。本作で日日日のそれが見られたことはとても嬉しい。たとえ小学生の子供と同じ作品を読んでいるとしても、です(少し痛い?)。また、ミステリの要素も若干あったのですが、今回は初めに犯人が明らかとなり、主人公がどのようにして真相に行き着くか、と言う形式で、これまでの日日日にはあまりなかった流れではないでしょうか。
 これにて一部完らしいのですが、もしかしたら次回からは主人公が変わるかもしれませんね。アクセサリのまま活躍する場面が少なかった父親とか、眠ってばかりの香美ちゃんが活躍する場面が描かれるかもしれません。次回作を楽しみに待ちたいと思います。