野梨原花南 マルタ・サギーは探偵ですか? A collection of s.2

 異世界に迷い込んだマルタ・サギーが活躍(?)する物語の短編集。あまり物事に固執しないマルタの飄々としたところに好感が持てます。脇役も個性があって、いい味を出しています。これはもうネタばれにはならないと思うのですが、ドクトル・バーチの正体はわかるでしょうにねえ。それも含めて異世界であり、こちらとは若干感覚が異なる部分なのかもしれません。別に悪いと思っているわけではなくて、コナン君の正体が周囲にはわからなくても作品は面白い(読んだことはありませんが)ことと同じだと思います。かえって本人だけが知らないという状況も面白いと思えますし、ね。
 短編集なのでそれぞれの感想を書こうかと思いましたが、個人的に好みだった作品は、第2章の「ドクトル・バーチに愛の手を」です。このセンスのずれが 野梨原花南さんの作品で好きな部分です。そういえば、マルタは高校生だったと思うのですが、バーチは何歳だったのか思い出せません。デートに誘われて思いがけず赤くなるところはとてもかわいらしく思えるのですが、実際には何人もの求婚者を袖にしているのでマルタと同世代とは思えません。この物語はどのような終わり方をするのか想像できませんが、野梨原花南さんの作品は好きなので続いてほしいと思います。