恩田陸 チョコレートコスモス
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2006/03/15
- メディア: 単行本
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舞台を見たことが無く、それらの知識がかけていることがとても残念に思えました。もし、もっと詳しければもっと没入できたでしょうし、もっと楽しめたのではないかと思います。それでも、役者が与えられた役になりきろうとする場面や、脚本の解釈を自分なりにどうするか悩む場面は興味深い。
主人公の一人である飛鳥はクールな性格で、主観で物事を見ています。役者になるためには物語を把握しなければいけない、と思うのですがそのあたりの訓練の描写はありませんでした。映画を見れば自然とわかるようになるのでしょうか。抱いているイメージとしては映画でも舞台でも創作にかかわる人は総じて文学などの知識量が豊富だと言うものがあったのですが、必ずしもそうではないのかもしれません。物語の後半に同一の脚本に対してどう表現するかを競い合う場面があったのですが、その場面はある物語の一幕を抜粋したものでした。もちろん、脚本を読んで理解できれば良いとの意見もあるのでしょうが、全体を知らないとわからない部分もあるのではないかと思います。そして、飛鳥はその知識を持っていないのではないか、と感じました。
物語全体の印象としては、大きな物語が動き出した感じで、これからもっと話があるのではないか、と思いました。最近の恩田陸作品では良くある傾向ですが、きっちりと終わらせるのではなく、想像の余地を大幅に残した終わり方でした。それにしても、今回は続編があるのではないかと思えます。同じテーマをどのように解釈するか、競作の場面が圧巻でしたが、もっとたくさん読みたいな、と思います。