- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/01/11
- メディア: 新書
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- ラジオの似合う夜 A radionic night
林警部の話でした。西アジアかな、と思ったのですが香港か朝鮮かも。X・Jと言う名前は中国方面の名前なのかと思いましたが、西アジアの名前に疎いのでもしかしたら、と思ったのです。短編集にふさわしい透明感のある物語。知らない道具が登場します。ほうほう。
- 檻とプリズム A prism in the cage
恐るべき子供たち、と言った読後感。10歳ぐらいのころはもっともっと能天気に過ごしていたと思います。似たような考えを持つようになったのはもう少し後だったでしょうか。これも、鋭く削られた短編だと思います。
- 証明可能な煙突掃除人 Provable chimney sweeper
クールです。大きさが今ひとつイメージできなかったかも。想像していた大きさだと、笑っている場合ではないかも。
- 皇帝の夢The imperial dream
胡蝶の夢、現代版。もう少し短くできるかも、とも思いましたがぎりぎりでしょう。
- 私を失望させて Drive me to despair
昔話に疑問を持つのは良くあることです。ミィちゃん面白い、と思っていたら意外な展開が。やられました。
- 麗しき黒髪に種を Seeds for her lovely tresses
静かで、少し悲しい話。眠る前にいいかもしれません。
- コシジ君のこと My most unforgettable figure
この場合、ありえなかった未来を想像することは悲しい。泣くことは精神の浄化かもしれません。
- 砂の街 The sandy town
人の話を聞かないひとって困りものです。有川浩さんの「塩の街」に近い印象。
- 刀之津診療所の怪 Mysterious of katanotu clinic
加部谷のキャラクタがまだ安定していないというか、定着していないと言うか。まだ、そこにいる必要はないような感じです。ここには書きませんが、あの人とあの人が知り合いとは…。と、言うことは…。これは森さんのサービスですね。
短編のほうが森さんらしさが良く出ているような気がします。もちろん長編も好きですが、長編は考えて造形した感じがする一方で、短編は自然に湧き出したもののような印象。飾りが少なくなっている、とでも言いましょうか。飾りが少なくなった結果、本人に近い塊が残されているような印象です。文体がエッセイに近いからかもしれません。レタス・フライはLet us flyかと思いましたが違いました。タイトルから想像しすぎでしょうか。まあ、多分この意味が込められていると思う作品もありました。一番すきなのはDrive me to despairです。