三雲岳斗 アスラクライン 3巻

 智春が帰宅すると自宅の前には顔見知りの女性が倒れていた。しかし彼女は智春の知る彼女ではなく、別人格であった。記憶を失ったのか、それとも人格が入れ替わったのか。判断がつかないまま彼女は智春の部屋に居候することになった。体調を崩した智春は、彼に取り付いている操緒の姿に異変が起きていることを知る。そんな時、スタビライザと呼ばれるものを取り戻すためやってきたのは……。
 アスラクラインの第3巻です。1巻の感想はここで、2巻の感想はここです。無意味(ではないのでしょうが)に露出の多い場面が多いのは需要に沿っているのか何なのか。新しく登場した人物も何人かいますが、智春の持つ機巧魔神と同レベルの機巧魔神がまだ8体もあるのか、と思うとまだまだ先は長そうです。最後に登場した彼女はこれからどこに住むのだろうか、とか、これまでと同様の振る舞いはできるのだろうか、と思いますが、そのあたりはなあなあで済ましてしまいそうな予感もします。
 2巻の感想にも書きましたが、きちんと終わらせることができるのかがまだ不安です。どうやら壮大な世界を予定しているようなことがあとがきにありましたが、できればほかのシリーズとからめるのはやめてほしいです。レベリオンとか、読んでいませんし、今のところ読む予定もないので。今回は特に思うところもなく、この巻の最後までの繋ぎかな、と言った印象。
 登場人物が多くなりすぎてきたためか、一人一人の出番が減ってきているのは仕方がないのでしょう。今回は朱浬さんが主役だったので、特にほかの登場人物の影が薄いかも知れません。佐伯(妹)は短い出番でしたが、前回の印象をうまく残していました。杏の扱いはかなり適当。嵩月奏の出番も少なかったので次回は活躍してくれるでしょうか。
 それほど科学的な設定に関してはまじめに読んでいないのであまり気がつきませんが、機巧魔神の技術を組み込むとか、いい加減、科学技術論は破綻していそうな感じです。SFでもないし、そのあたりは著者も、ま、いいでしょうぐらいの気持ちで書いているのかも知れません。1巻では無理やり説明しようとしていた雰囲気があったため引っかかった部分もありましたが、2巻以降は適当に流している感じで、この作品の作風としてはそれでいいのではないかと思います。