朱川湊人 かたみ歌

かたみ歌

かたみ歌

 直木賞を受賞した朱川さんの短編集です。朱川さんの作品は初めてでしたが、期待して読み始めたものの拍子抜けです。なんというか・・・・・・・可もなく不可もなくといった感じです。死者が現れることがある不思議な町があって、そこの商店街の主のような古書店の店主が物語りに関わってきます。とはいえ特別何かをするわけでもなく、短編集なので最後に何か驚くようなことがあるのかな、と思って最後まで読みましたが、特別たいした出来事もなく終わってしまいました。最終話は他の作品よりは面白かったです。
 印象としては、吹っ切れていない浅田次郎さんです。浅田次郎さんは自分の作品があざといな、と十分に自覚してあの文章を書いていらっしゃると思うのですが、朱川さんはまだ控えめと言うか、恥じらいが残っていると言うか。これが直木賞だったらかなり失望するところ。直木賞作家と先入観を持って挑んだため期待値が高すぎたのかもしれません。決してつまらないわけではないのですが。