雪乃紗衣 彩雲国物語―黄金の約束
- 作者: 雪乃紗衣,由羅カイリ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/02/01
- メディア: 文庫
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彩雲国物語第二弾です。王様である劉輝が相変わらずのぼけぼけ振りですが、彼の素直さは伏魔殿であろう朝廷のなかでは貴重かもしれません。公私を分けて考えられる彼は秀麗に対する恋心を抱いたままでも政治に関しては王としての考え方で進めていきます。まだ、側近の彼らが凄腕であることの証明はされませんでした。武官の場合、圧倒的な力を見せ付ければそれでいいのかもしれませんが、文官の場合、策略を張り巡らしていてもその効果が現れるまで時間がかかる場合が多いと思います。また、一つ一つの作戦は有効であり、総合すると劇的な効果であったとしてもなかなか単独で見るとわかりにくい場合も考えられます。文官の彼らの活躍をどう描くかが、作者の実力の見せ所でしょう。賢いはずの彼らなのですが、どこか感心するポイントがずれています。まあ、本来の対象になる年齢層から言えばあまり複雑にしないほうがいいとか、過剰に現実を見せないほうが良いとか考えているのかもしれません。
前回は秀麗の父親や老人が活躍しましたが今回はどちらかというと若めの活躍が光っていました。とはいえ前回から暗躍している老人がまたなにやら画策している様子ですし、主治医のお爺様もいい性格をしていそうなので今後も活躍してほしいところです。黄奇人の仮面の下はありがちな内容でした。この作品に出てくる人たちって年齢不詳の人が多すぎるような気がします。若者、若者、老人と急にじじいになっているような感じ。壮年の人たちも何人か出てきているはずなのですが、イラストが無い(映えないからでしょうが)ので、どのような見た目かわかりません。
ところでイラストによればこの国の人たちはあまり機能的ではなさそうな服を着ています。下世話な話ですが作中、トイレやお風呂に関する表記が無かったのではないかと思います。書いていて思ったのですが、あまり食事以外に生活感が無いかも。洗濯をするとか、秀麗の手がごつごつしているとかは書いてありましたが、具体的な生活の様子はあまり無かったかもしれません。もしかしたらわざとかもしれないし、政治的な流れとか心情を表すことに重点を置いているのかもしれません。個人的には、物語に没入するためにはもう少し生活に関する表現もあったほうが良いと思います。