原作/大塚英志 漫画/山崎峰水 くもはち

くもはち (カドカワコミックスAエース)

くもはち (カドカワコミックスAエース)

 ある日突然のっぺらぼうになってしまった青年。彼は顔とともに記憶も失われていた。彼が怪談作家の絵師として出会ったくもはちは彼にむじなと言う名をつけた。くもはちと行動することになってから奇怪な出来事に遭遇するむじな。怪談作家が調査に出かけているため、奇怪な出来事に遭遇すること自体はさほど不可解なことではないかもしれない。不本意だったかもしれないが、不可解な事件を解決するくもはちとむじなだったが、むじながのっぺらぼうであるようにくもはちにもある秘密が隠されていた。
 大塚英志の原作をコミカライズした作品です。大塚英志はこのパタンが好きなようで、森美夏が北神伝奇や木島日記を描いたことと同じです。大塚英志の思想や考え方はともかく、彼の文学界に実在した人物を登場させる手法は好きですし、面白い。実際にこれらの文学者がこういった性格をしていたとは思いませんが、大塚英志民俗学に関する知識と、文学者をキャラクタとして使う才能のためか、違和感も無く受け入れることができます。山崎峰水の絵は現代よりもむしろこの時代に向いているかも、と感じました。黒鷺死体宅急便もそれなりに面白いのですが、こちらのほうが好みです。