秋山はる すずめすずなり

すずめすずなり(1) (アフタヌーンKC)

すずめすずなり(1) (アフタヌーンKC)

 会社員の橋本修二郎は条件のいいアパートを見つけたが、その入居条件は朝食をともにとることだった。木造で築10年とは言うものの価格の安さは魅力的で、修二郎はそのアパートへの入居を決意する。毎日顔をあわせるため自然と親密になりつつある隣人たちは個性的なメンバだった。
 寮生活のように集団生活は苦手です。学校や会社でも会うのにどうして帰ってきてまで会わないといけないのか、と思いますね。集団生活が苦手ではない人たちにとっては食事も用意されているし、価格も安いと言うことで文句なしかもしれません。この作品に出てくる人たちはみんなそれなりにいい人揃いで、悪意を持った人はいません。大家さんは入居条件を決めていないようでしたが、危険な人は今まで来なかったのかな、と疑問に思いました。
 まあ、それは漫画と言うことでスルーしましょう。大家さんの娘さんは中学二年生ということで多感な時期ですが、とても素直に育っています。いまどきこの素直さは貴重なのではないでしょうか。父親が一度も登場せず、どうして朝食を皆でとるようにしているのか、家庭環境はどうなっているのかなど、まだ明かされていない部分はたくさんあります。それはいずれ明らかになっていくのでしょう。非常にアフタヌーンらしい作品で、日常の中のほんの少しずれた人物や生活を描いており、特別盛り上がるわけではないものの好感が持てる作品です。ところで、一番の謎は、SEである修二郎が規則正しい生活が出来るのか、というあたりですね。もしかしたら著者はSEの生態を知らないのかもしれません。2巻ももうすぐ出るみたいです。少し楽しみ。