三並夏 平成マシンガンズ

平成マシンガンズ

平成マシンガンズ

 中学校に通う内田朋美は両親が別居し、愛人が次第に家庭に入り込んでくることにうんざりしていた。それでも自分の居場所は家か学校しかなく、学校では周囲に同調するふりをして地味な娘を演出しているつもりだった。ある日、適当に相槌を打っている自分を見透かされた朋美はフォローする余裕もなく、友人たちから距離を置かれてしまう。行き場の無くなった朋美はある場所へ向かう・・・。
 現役中学生の三並夏さんが中学生活を描いた物語です。大人は大人なりの行動の制限があるのですが、子供の頃は本当に行き場が限られているな、と感じていました。これは三並さんの実感なのか創造なのかはわかりませんが、若い時に書いていることで説得力が増しているように思えます。
 朋美はこの年齢では当たり前かもしれませんが、自分を中心としてしか考えることが出来ず、自分にとって快いか不快かが彼女の価値観を決定する重要な因子です。愛人のやり方は確かに大人らしくは無いのですが、それでも朋美に歩み寄ろうとしています。子供と接するのが苦手かもしれませんし、自分の思春期の頃を思い返して気を使いすぎてそうなっているのかもしれません(少し好意的に見すぎているとは思いますが)。
 終盤、彼女はある決意をします。決意と言うほど大層なことではないかもしれませんが、今後どのような人物になるのかを示唆する決意でした。まあ、若い頃考えたことがいつまで継続するかはわかりませんが、意外と残っている物ではないでしょうか。
 ウェブが発達したことで、体験が共有されるとどこかで読みました。体験したことしか書けない理由は無いのですが、表現として特別感じ入る部分はあまりありませんでした。でも、15歳でこの文章を書いたと言うことは十分評価に値すると思います。先に情報が入っていたと言うこともあって始めから中学生が書いた文章だと言う先入観があったことは否めません。誰が何歳で書こうと作品の内容には関係ないはずなのですが、まだ未熟ですね(読むほうが)。まっさらな状態だったらどう思うかは今のところ何ともいえませんが、次回以降の作品も読んでみたいと思いました。今後小説を書き続けるかもしれないし、乙一さんのように映像関係に興味を持ち始めるかもしれません。今後が楽しみな方です。