ニール・カミンズ 宇宙100の大誤解

宇宙100の大誤解―言われてみれば間違いだらけ (ブルーバックス)

宇宙100の大誤解―言われてみれば間違いだらけ (ブルーバックス)





 思い込みによって誤解されているという、宇宙に対する知識を正そうという目的で書かれたブルーバックスです。しかし、これ、誰がそのような誤解をしているのかが一番の疑問でした。世の中にこんな風に考えている人っているのでしょうか?少なくとも今まで出会ったことは無いのですが、どうでしょう?
 とはいえ中にはそう思っている人もいるだろうな、と感じる内容もあります。そもそもあまり宇宙に興味を持っている人が少ないのかもしれませんね。それはそれで少し残念です。突き詰めていくと判らないことだらけだし、数式を見せられた時点で拒否反応が出てしまう人も多いかもしれません。でも、一つ一つ現象を説明していけばそれほど訳がわからないことでもないし(理解しているかどうかは怪しいのですが)、判れば判るほど楽しいと思うのです。
 それでは少し紹介します。
 

人工衛星の高度が下がるのは太陽からの粒子に押されるからである」

 なんと殆どの人がこう考えているのではないかと著者は述べています。そのことにびっくり。
 

「地球は一日に一自転する」

 確かに公転周期を考えると一周しきっていないことはその通りですね。
 

「どの惑星も表面は固い」

 これはあまり天体に興味の無い人が思っていそうな気がします。
 

「隕石や流星は星のかけらである」

 これは、まあ、一部その通りなのですが、全てがそうではないと言うことですね。この免許取得の試験のような質問は何とかならないのかなあ、と思いますが、もしかしたら訳が本人の意図を表現しきれていないだけかもしれません。
 

「小さい星よりも大きい星のほうが物質がたくさん詰まっていて、より重い」

 これもありそうです。でも、少し考えれば気がつく人が大半でしょう。
 

「摩擦力は自動車の進行方向の反対を向いている」

 これは、なるほど、と思えます。自動車というあたりがポイントですね。読んだ時は何がおかしいのだろう、と思いましたが説明を読んで納得。

 全体的に質問が意地悪なのですね。こう訊かれたらその通りと答えてしまうこともあるかもしれません。後半は興味が無ければ単語自体知らない内容だと思います。興味があるほうだと思うのですが、知らない単語もありました。
 意地悪な質問も多々ありますが、全体的には面白く読めましたし、少し天体に興味がある方にちょうどいいのではないかと感じました。さすがブルーバックス。最後には思い込みと誤解について、それを避けるためにどうすればよいのか著者の意見が書いてあります。これは、かなり良いです。付録の誤解に陥らないための21個条を読むだけでも価値があるかもしれません。メモしておきました。