伊坂幸太郎 魔王
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/10/20
- メディア: 単行本
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大学を卒業し、ある程度有名な企業に就職したサラリィマンの兄とバイトを転々としている弟の兄の癖は考えること、そして欠点は考えすぎること。口癖ならぬ 思考癖は「考えろ考えろマクガイバー」。そんな兄は自分がある能力を有していることに気づく。他人の体を乗っ取るとまでは行かないが、一言だけ、自分の思 い通りの言葉を発言させることができる能力だ。しかし、その能力には副作用があった・・・。
あらすじを見ても何がなんだかさっぱりわからないと思います。今回は敢えて全体的な内容には触れないようにしました。物語では政治やそれに関する周囲の意 見(憲法9条や社会のあり方)などが頻繁に出てきます。ほとんどがその話題だと言っても過言ではないかもしれません。
ただ、あとがきにありましたが、ファ シズムや憲法はテーマではありません。それではこの作品のテーマは何なのか。それは、きっと、乱暴に言えば"お前ら考えろ"です。 この作品では政治がこうなったらこうなるかも知れない、と仮定が提示され、登場人物がそれについて議論します。読んでいる読者はその議論に参加はできないものの提示された内容について考えることはできます。政治について考えてみるのも良いかもしれません。あの国はあんなことをしながらあんなことを言っているけど、本気で言っているのかただの外交手段なのか。誰がどれだけ本当のことを言っているんだろう?資料は、根拠はあるの?などなど、いろいろと考えるとことはあると思います。ウェブ上には無名有名いずれにせよ有能な方がさまざまな意見を述べていると思います。一方からのみ見るのではなくて、見たい部分だけを見るのではなくて、いろんな視点からの意見をみて、いろいろと考えようと思います。