五代ゆう パラケルススの娘2





 祖母の知己であるクリスティーナの下で居候(奉仕活動)をしている遼太郎を妹の和音が訪れる。この時代、何も知らない娘がひとりで日本から渡英することが出来るはずもなく、誰ときたのかをたずねる遼太郎に対して和音は言葉を濁す。同時期、クリスティーナは路上で言い争う日本人の娘を助けた。その娘は遼太郎の婚約者、美弥子で、和音は美弥子の荷物にまぎれて渡英してきたのだった。美弥子を助ける際、ロンドンの闇社会を統べる女王の使者に借りを作ったクリスティーナは借りを返すため、一般人が入ることの出来ない闇のロンドンへ遼太郎と向かう・・・。
 男性陣は代わり映えがしないものの女性陣は和音に美弥子、そしてもう一人と登場人物が一気に増えて華やかになりました。美弥子のツンデレっぷりはまあ、ありがちといえばありがちでしょうか。それよりもあまりにいい子である和音が気になります。こんなにいい子な訳がない、きっと黒い部分があるはずだ、と描かれていない部分まで想像しているのは自分が穢れ無き人間ではないからかも。兄の遼太郎が女性と接近するとやきもちを焼いているのが可愛らしいです。
 クリスティーナがSacred Blood(聖なる血)と呼ばれていました。きっと、この理由も考えてあると思います。年齢も不肖だし、どんな謎が隠されていてもおかしくないのでどういった展開になるのか楽しみ。 この時代の海外と言うのは、ある程度情報が豊富にあるけれどあまり広く知られているわけでもない世界で、想像の余地がたくさんあるのが良いですね。言葉遊びや文学の引用など、あまり知らないのですが、知っていればもっと楽しめるのではないかと思いながら読みました。あとがきに引用文献が有りましたので、英国が好きな方は参照するのも良いかもしれません。
 1巻と違って叡智を感じさせる言葉はあまり無かったのですが、今回は少女たちの登場、紹介の巻かもしれません。英国の知識は無いのですが、中世ヨーロッパの雰囲気は好きです。もっとマニアックになってもらってもついていきますのでどんどん突っ走ってもらいたいですね。