吉田茄矢 Bud×Buddy2 サウスギャングコネクション

 未成年の元軍人上司ウォルターとそりが合わない連邦本部から左遷されてきたホンダ。町ではColour Gangが幅を利かせており、胸に切り傷を刻まれた死体が続出する。おとり捜査のため潜入捜査をするウォルター。そりが合わないものの相棒(上司だけど)の危険を黙ってみていられないホンダは単独行動を取る・・・。
 途中まで読んでいて気がつきました。富士見ミステリなのでミステリと思って読んでいたのが良くなかったのです。これは電撃文庫だと思って、主人公が撃たれようが刺されようが大したダメージではないのだ、と思って読めば細部は気にならなくなりました。これは電撃文庫を馬鹿にしているのではなく、読む側の前提条件が間違っていたと言うことです。
 主人公の一人称で語られる形式ですが、アメリカに憧れた子供がアニメの銃撃戦を見て書いたような文章なのが少し馴染めません。それにしてもあまり各キャラクタを掘り下げないのに新しいキャラを出してどうするんだろうかと思います。爆弾魔の少女はとってつけたような登場をして去っていくし、殺し屋は唐突に本性を表すしで、キャラクタの薄っぺらさは相変わらずです。
 シルビアがホンダのどこに惚れたのか?レッティの兄はどうなっているのか?爆弾作製のプロフェッショナル家族なら両親は?ウォルターの過去は?ホンダはこんな性格でどうやって本部の警官になれたのか?査察が入ったと言うがそれはなぜなのか?挙げていけば切りがありませんがこのままのペースで行けば投げっぱなしの設定が出るか、ものすごく長い作品になるでしょう。そこまで付き合いきれないかな、と言うのが今の感想です。