日本橋ヨヲコ G戦場ヘヴンズドア 3巻
- 作者: 日本橋ヨヲコ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2003/09/30
- メディア: コミック
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ついにデビューを果たした鉄男。しかし鉄男は漫画を愛して描いていた頃とは異なり、漫画を憎んでいる。それは過剰な愛情の裏返しであったが、当人は気づかず自らを蝕んでいく。鉄男とは異なり期待賞であったが、町蔵もまた読みきり作品で漫画家として出発した。身を削りながら描く鉄男の作品は瞬く間に世間に受け入れられる。だがそんな状態がいつまでも続くはずも無く・・・。
こう来ることは解っていました。2巻を読了後、ストーリィを想像していたので、おそらく展開はこうなるだろうということを予想していました。それでもこんなに話に打ちのめされてしまうのはどうしてなのでしょう。きっと、日本橋ヨヲコさんが全身全霊を込めて描いた作品であったことと、作品を読むタイミングが良かったことが原因だと思われます。
極限状態から鉄男が発したSOS。不幸の連鎖。父親の鉄人は自らも通った道であるがゆえに想像することは比較的たやすかったはず。実際、予想はついていたはず。それでもこの悲劇をとめなかったのは、止めなかったわけではなく、止められなかったから。鉄人の漫画に対する愛情と、息子に対する愛情が伝わってくるだけに、その決断は重く、悲しい。
命を取り留めた鉄男に鉄人が下した決断は、一見冷徹であるようにも思えますが、鉄男のことを思いやった最大級の愛情であり、これ以外に愛情の示し方は無かったのです。そして町蔵は彼なりのやりかたで手を差し伸べます。短かったけれど濃密だった修行時代はここに繋がります。
物語の最後は予定調和と言われる内容かもしれません。だとしても、最も熱く激しい時をともに戦った戦友たち全てに繋がりが残っていてこれ以外に締め方は無かったように思えます。
すごく良かった。これまで読んだ漫画のベスト3に入るのは間違いなく、これから先、これを超える作品に出会えるのか、と不安になってしまうくらいでした。読了後、知恵熱というわけでもないのでしょうが、発熱してしまいました。軟弱な読者です。あたまいたい。