[読了] 三原ミツカズ Doll 2巻

Doll 2 (Feelコミックス)

Doll 2 (Feelコミックス)




 人を模した姿のDollはあくまでも機械なのですが、彼らに満たされる者もいれば満たされないものもいます。その差はDollを切望した者か、人に対して望むものに対してDollが身代わりになっているかの違い。思いのすれ違いが悲劇を生む、そして、やり場の無い感情はDollに向けられる。

 -List7 
 喉を病んだ腹話術師。彼の持つ人形はDollからは程遠く、ただの人形に過ぎない。廃棄されそうなDollと出会い、最期に天上の声で芸をこなします。素晴らしい歌声は彼のもの?それとも・・・。
 -List8
 苦情処理係で働く女性。顧客はDollの機械的な対応では我慢できない。求められるのは人間だけど・・・。苦情処理というのはいたずらや苦情を言うために苦情を言う人がいたりしてストレスのかかる職場だと思います。心を停止しようとした彼女が痛ましい。
 -List9 
 Dollの違法改造者の話。優しい母親を求める子供。本物の、人間の母親よりもDollを選択した子供の寂しさに身がつまされる思いです。
 -List10
 性的な欲望を処理するために違法改造されたDoll。自律した思考を持つDollはかなり人間に近いかもしれません。どんどんエスカレートする人間。それでもDollは感情を表すことが出来ません。スクラップになった彼は違法改造者の手によってある感情を得ます。感情を表現することが出来るようになって彼が得たもの。それは・・・。 
 -List11
 歪んだ性癖を持つ彼。その理由は・・・。自分でもわからない性癖に優しい解釈をつけてくれた彼女。その彼女に対して取った(とろうとしている)行動が恐ろしい。強ち無いとも言い切れないあたりが本当に恐ろしいと思います。
 -List12
 霊能力を持つ少女と彼女に仕えるDoll。Dollを製作できるような技術力を持った時代でも、超常能力に惹かれる人はいるのかもしれません。超越した能力は自らにも及びます。それを乗り越えようとする彼女の強さに人の可能性を感じました。
  
 本作で描かれているのはそれほど遠くない未来に迎えるかもしれない世界。たとえ技術が進歩してもこの程度の短い時間では人の本質は劇的には変わらない、という三原ミツカズさんの考えには同意できます。3巻以降にも期待大ですね。