[読了]橋本紡 リバーズ・エンド

リバーズ・エンド (電撃文庫)

リバーズ・エンド (電撃文庫)


 ある日拓己の元に「あなたの街に海はありますか」というメールが届く。不正請求やいたずらである可能性を考えず拓己はメールに返信し、その相手は同じ年齢、中学2年生の唯だった。唯はまもなく拓己の町に引っ越してくることになり、短い期間ながらもメールで交流を重ねていた二人はすぐに打ち解けあう。幼馴染とダブルデートをしたり、こっそりと学校で子猫たちに餌をあげたりする些細な幸せは長くは続かなかった。それの理由は・・・。
 穏やかな日常はおそらく著者が望み、得られなかったもの。ほのぼのとして良いと言えば良いのですが、内容の密度が低いと言うか、あまり読後感は良くありませんでした。ここまで橋本紡さんの著作を読んできて思うことは、ある程度の長さがないと表現しきれない作風なのだな、と言うこと。それが悪いとはいいません。現に「猫泥棒〜」は良作だったと思います。文章も好きです。が、単行本一冊分の文章を駆使して、この場面で終わってしまっては固定されたファンでなくてはついていき難いのでは?と心配してしまいます。おそらく、「猫泥棒〜」を見ていなかったら続きを読まなかったと思います。こういう点が、人気が爆発しない原因かもしれませんね。物語は完結しているようですが、どうしても続きが読みたい、という内容ではありませんでした。ただ、時間があるときに(内容を忘れないうちに)読もうとは思います。
 あと、これまで目にした作品全てに共通のことですが、どうしてもあとがきが蛇足に思えて仕方がありません。きっと真面目な方なのでしょう。あとがきに必要以上に作品について触れてしまっています。もっとふざけて誤魔化すか、何も書かないほうが良いと思います。少なくとも物語が完結するまでは。