[読了] 長谷川昌史 ひかりのまち

 夜だけが続く日黒期がある町、パラクタ。町の政治家の息子であるネリムは失踪した兄の件について疑問を持つ。そのこと学校に新たに赴任してきた医務員のディネ。ディネと共に日黒期の謎に迫るうち、ネリムは兄の失踪の真相へと近づいていく。
イラストレータが良くも悪くも電撃文庫らしい絵柄。新人賞だということで王道を進ませる心積もりなのでしょうか。あとがきで著者は純粋さと性的な事象を併せ持つ青年(少年)を描こうとした、と述べています。確かに、そう。目的は伝わってきますが、目的が物語りに透けて見えるのはマイナス点かもしれませんね。物語自体はこれで完結している感じです。続編があるとのことですが、(この舞台設定を気に入っているならともかく)別の話を作り出したほうが良いと思います。キャラクタはともかく世界設定は雰囲気が出ていました。いかんせん、キャラクタがの行動原理や心理的変化が今ひとつ乗り切れませんでした。次回作以降に期待ですね。