加藤実秋 「インディゴの夜」

インディゴの夜 (ミステリ・フロンティア)

インディゴの夜 (ミステリ・フロンティア)





女性ライタの高原晶が編集中に漏らした一言からできてしまったホストクラブ「インディゴ」。健康的なホストクラブであるインディゴは同業他社から一目置かれるものの、妬みの対象となる。晶の周囲でおきる事件を解決するためホストやマネージャが奔走する。
ミステリ・フロンティアのひとつとして出版された作品。同シリーズは佳作が多く、かなりの割合で読んでいます。池袋ウエストゲートパークに似た雰囲気の作品。田舎者で都会のイメージが凡庸なためそう感じるのかも。登場するホストは個性的(?)。特に個性的なのは名前です。都会はこんなのですか?ジョン太と名乗られても、困ってしまいそうです。そのような機会はありませんが。
以下ネタばれ部分があります。
気になったのは”伝説の”ホスト、憂夜。何がどう伝説なのかよくわからないまま、絶大な影響力を周囲に及ぼしています。続きを想定しているのか、単なる便利キャラとして登場しているのか。話が込み入ってきた時に彼が登場すると少し読む側のテンションが下がってしまいました。逆にお気に入りなのはオカマ(ゲイ)のママ。もし続きがあるのならぜひ登場してほしいです。潜入した(別の)ホストクラブで楽しみ放題。犬が逃げたから潜入操作もそっちのけで探しに帰る。そしてその犬は回りになつかない。自由です。とても自由です。もちろん、同性愛者としての苦悩も描かれますが、この気質は素敵。